多焦点眼内レンズは、遠方と近方にピントが合う遠近両用レンズです。白内障によって濁った水晶体を摘出し、その代わりに眼内レンズを挿入しますが、従来の単焦点レンズはきまった一点のみにピントが合うため、それ以外の場所を見るときは眼鏡が必要となります。例えば、遠方が見えるように単焦点眼内レンズを挿入した場合には、遠くを見るときには眼鏡なしでも可能ですが、新聞や本など近くの字を読みたい時には近用眼鏡(いわゆる老眼鏡)が必要です。
多焦点眼内レンズは、2か所もしくは3か所にピントが合うため、若いころのようにすべての位置にピントが合うわけでは
ありませんが、遠方と近方が見える事で日常生活は非常に楽になります。多焦点眼内レンズにより、眼鏡に依存しないもしくは眼鏡の使用頻度を減らすことが可能となり、QOL(quality of life)の向上が期待されます。
多焦点眼内レンズは、挿入してから見え方に慣れるまでに数週間~数ヶ月かかる場合があります。これは、脳が多焦点レンズの見え方に順応する時間が必要なためです。
また、単焦点レンズと比較してコントラスト感度(鮮やかさ)が少し低いことや夜間少し見えにくく感じること、
光の輪(ハロー)やまぶしさ(グレア)を感じることがあります。時間と共に軽快し、気にならなくなる方が多いようです。